DIIV

Deceiver

DIIV

Deceiver

  • release date /
    2019-10-04
  • country /
    US
  • gerne /
    shoegaze, alternative-rock, grunge, dream-pop
Light
Dark
Soft
Heavy
Clear
Noisy
Slow
Fast
Pop
Extreme

NYのシューゲイズ・バンドの3rdアルバム。名門Captured Tracksよりリリース。

DIIVは、Beach FossilsのギタリストでもあったZachary Cole Smithによって2011年に結成。2012年にデビューアルバム"Oshin"、2016年には2ndアルバム"Is the Is Are"をリリース。キラキラとしたギターをフィーチャーしたサウンドは多くのファンを獲得し、各メディアでも絶賛されました。それから3年ぶりにリリースされた本作は大胆なヘヴィ路線への転身によって、リスナーに新鮮な驚きをもたらしました。

Zachary Cole Smithの薬物中毒からの再起の経験がフィードバックされた歌詞にふさわしい変化を遂げるべく、さらにシューゲイズへと傾倒。My Bloody Valentineの他、True WidowやNeurosisといったヘヴィなバンドの影響も挙げており、2018年のDeafheavenとのツアーも刺激の源となったようです。また、ギターの音造りはThe Smashing Pumpkinsを参考にしたとも語っています。

開幕の#1"Horsehead"から早くもじっとり陰鬱なムードにざりざりとしたノイジーなギターが主張し、今までと違うDIIVであることを高らかに宣誓してきます。続く#2"Like Before You Were Born"は比較的アップテンポなナンバーながらどこか暗く退廃的なムードがつきまとう。淡い歌声と嵐のようにうねるギターの対比が素晴らしい。

個人的ハイライトはヘヴィなギターに絡みつく切ないメロディが印象的な#6"For the Guilty"。歌詞に療養中の体験が色濃く反映されているこの曲は、彼にとっての贖罪や戒めなのかもしれません。

これまでの作品の中でシューゲイズ度は最高レベル。DIIVの新たな門出を飾るにふさわしい名作といえるでしょう。

なおアートワークに関する言及は発見できませんでしたが、私はアメリカの画家Charles Allan Gilbertの"All Is Vanity"にインスパイアされたものと予想しています。人が佇んでいるようであり、遠くから見ると人の顔にも見える騙し絵の手法によって描かれている点も共通しています。影響の真偽はさておき、"Deceiver"=『欺瞞者』というタイトルに非常にピッタリではないでしょうか。もし気になる方はCharles Allan Gilbertのwikiもチェックしてみてください。