Drum & Gaze: Dazey Chain
7mint
7mint
Drum & Gaze: Dazey Chain
- release date /2023-12-20
- country /Malaysia
- gerne /drum&bass, shoegaze, dream-pop
全編にわたってドラムンベースとシューゲイズのクロスオーバーを試みた意欲作。メランコリックなムードは好みだけど、ドラムンベースの旨みが活かせていない印象は否めず。次作に期待。
UNNORMAL
BLOOD PICK ME
BLOOD PICK ME
UNNORMAL
- release date /2023-08-23
- country /Japan
- gerne /shoegaze, alternative-rock, industrial, post-punk
ヘヴィなギターを主軸にインダストリアルな要素を交え、退廃的なディストピアを描いたデビューアルバム。日本シューゲイズ界においてここまで一貫してダークな作風のバンドは貴重。アップリフティングなダンスチューンのIN SECRETから、地を穿つようにヘヴィなAll I Needへの流れは彼らの個性が遺憾なく発揮された本作のハイライト。なお現在の活動は音源制作が主でメンバーの素性はほぼ不明。いつかライブを拝める日が訪れることを祈っています。
Vignette I
CD Ghost
CD Ghost
Vignette I
- release date /2023-12-01
- country /US
- gerne /dream-pop, synthwave, synth-pop
ダークウェイヴ〜ポストパンクの仄暗い退廃美とシンセウェイヴ〜ドリームポップのロマンチシズムが溶け合う甘美なカクテル。前作からダークさは減少したものの、糖度が増してこれまた美味。
Central Pacific State Beach
Central Pacific State Beach
Central Pacific State Beach
Central Pacific State Beach
- release date /2023-07-28
- country /US
- gerne /shoegaze, dream-pop, drone, ambient
Infinite VacationからCentral Pacific State Beachに改名したもよう。アンビエントドローンの浮遊感にサイケデリックな酩酊感が加わったサウンドは、無人島で妖しいおクスリをキメながら最期の時を過ごす世捨て人の白昼夢のよう。
Winter Veil
The Crush
The Crush
Winter Veil
- release date /2023-12-25
- country /Hong Kong
- gerne /coldwave, darkwave, gothic-rock, post-punk, dream-pop, shoegaze
香港のポストパンク/ダークウェイヴ・バンドのデビューアルバム。
ポストパンク〜ダークウェイヴの退廃的で重たいサウンドをベースに、宝石のように煌めくアルペジオやサイケデリックな轟音を随所に散りばめており、ゴス好きだけでなくドリームポップやシューゲイズファンにも楽しめる作風となっています。
特に深いリバーブを効かせた#5"On the Train"はCocteau Twins〜Slowdiveに通じる耽美性が発揮されており、母国語のエキゾチックな歌唱も相まってうっとりせずにはいられない名曲。
The KVBやKælan Mikla、Drab Majesty、NewDadなどがお好きな方はぜひお試しあれ。
来日公演も決まったのでダークシューゲイズ愛好家は全員行きましょう!
deary
deary
deary
deary
- release date /2023-11-17
- country /UK
- gerne /dream-pop, ethereal-wave, shoegaze
90〜00年代に多く見られた4ADルーツのethreal waveの血を受け継ぐ幽玄耽美ドリームポップ。その傾向が色濃く現れた『Beauty in all Blue Satin』がベストチューン。
Forever
Death of Heather
Death of Heather
Forever
- release date /2023-11-04
- country /Thailand
- gerne /shoegaze, dream-pop, alternative-rock
ヘヴィでメランコリックな味わいを増したタイ発シューゲイズ。待望の日本公演は音の仕上がりが素晴らしく、まるで星が渦巻く銀河の中心への旅をするような至高の体験となりました。
deer death
deer death
deer death
deer death
- release date /2023-12-22
- country /US
- gerne /shoegaze, alternative-rock, grunge
グランジ由来のノイジーなギターと哀愁の染み付いた男性ボーカルが織りなすサウンドは、無骨でありながら実に退廃的でロマンティック。Type O NegativeやDarkseedといった懐かしのゴスどころに通じる味わいもあり。
Momentary
Distressor
Distressor
Momentary
- release date /2023-02-17
- country /US
- gerne /shoegaze, post-rock, alternative-rock
USカリフォルニア州発シューゲイズ・バンドのデビューアルバム。
冷気漂うメランコリックなサウンドはまさしくWhirrの血筋。おそらくバンド名も彼らの1stEPから拝借したものでしょう。
本家よりもリバーブによる浮遊感が強く出ていてThe Daysleepersをヘヴィにした印象もあり。デビューアルバムにしてこのクオリティとは今後が楽しみ。
なおギターボーカルのCory Kurkierewicz氏のYouTubeチャンネルにヘヴィシューゲイズの名曲カバーがたくさんアップされているので興味があれば覗いてみて下さい。個人的にはHoly FawnのDark Stoneのカバーにめっちゃ興奮しました笑
Fear the Softest Gaze
Fawns of Love
Fawns of Love
Fear the Softest Gaze
- release date /2023-10-27
- country /US
- gerne /dream-pop, ethereal-wave, post-punk, shoegaze
USカリフォルニア発ドリームポップデュオ。琥珀糖のような煌めきを放つ甘美なサウンドが特徴。Cocteau TwinsのRobin Guthrieによるアレンジverを収録。
Alexithymia
Forest of Ember Skies
Forest of Ember Skies
Alexithymia
- release date /2023-12-01
- country /Netherlands
- gerne /blackgaze, post-rock, ethereal-wave, dream-pop
Lethian DreamsやRemenbranceのボーカリストとして暗黒音楽界で名を知られるCarline Van Roosのソロプロジェクト。別プロジェクトのAythis由来の幽玄なフォークにブラックゲイズを接続。誰も寄り付かない森の深奥にだけ咲く美しい花。
Let the Earth be Silent
FVNERALS
FVNERALS
Let the Earth be Silent
- release date /2023-02-03
- country /Germany
- gerne /doomgaze, funeral-doom, dark-ambient, post-rock, slowcore
シューゲイズとフューネラルドゥームが完全融合を果たした暗黒系シューゲイズの極北。世界の終末にはきっとこんな音が響いているのでしょう。一刻も早いPresence of Soulとの対バンを望んでやみません。
Mementos
Gísli Gunnarsson
Gísli Gunnarsson
Mementos
- release date /2023-11-10
- country /Iceland
- gerne /ambient, post-classical, post-rock, shoegaze
聖属性のポストクラシカルを主軸としながら、時折ヘヴィなナンバーを混ぜこむギャップが魅力。アルバム後半にその傾向が強く、中でも同郷のプログメタルCult of LilithのボーカリストMario Infantesをフィーチャーした『Stream of Life 』は破格の美しさ。ブラストビートを伴う暴力的なサウンドが、なめらかで艶のあるテノールの美声を抱き、まばゆい光の奔流となって聴く者の魂を神の身許へと誘う。最近ではAlcestとコラボ曲もリリースしており、ますます目が離せそうにありません。
Nightsphere
Heretoir
Heretoir
Nightsphere
- release date /2023-10-06
- country /Germany
- gerne /blackgaze, progressive-metal, post-metal
ブラストビートを交えた激しいサウンドと幽玄なクリーンボーカルのマッチングはブラックゲイズの基本フォーマットながら、長尺でも飽きさせない構築美はプログレの血脈も感じさせる。Austere・Der Weg einer Freiheitという豪華なゲストボーカル陣もブラックメタル好きにはたまらない。
Playground
House of Harm
House of Harm
Playground
- release date /2023-12-01
- country /US
- gerne /darkwave, post-punk, dream-pop, shoegaze
キラキラしたギターやシンセをまぶしたダークウェイヴ〜ポストパンクは昔から大好物でしてね。取り分けこのバンドは歌メロのフックが強く、ドリームポップやシューゲイズだけでなくV系のファンまで取り込める訴求力あり。HANDS AND MOMENTさん、来日待ってます。
Alas, I Am Morbid!
IJdelheid
IJdelheid
Alas, I Am Morbid!
- release date /2023-09-01
- country /Netherlands
- gerne /ambient, neoclassical, dark-folk, doomgaze, dream-pop, post-rock
Dead Can DanceやArcanaといったネオクラシカル〜フォークの系譜にドゥームゲイズ風のギターを取り入れた『Shadows Stretching Out』が白眉。Lovesliescrushing等のアンビエント系ドゥームゲイズ好きにもおすすめ。
Solace
Iress
Iress
Solace
- release date /2023-05-12
- country /US
- gerne /shoegaze, doomgaze, post-rock, dream-pop, slowcore
LAのポストメタル/ドゥームゲイズ・バンドの2023年リリースのEP。
スロウコア、シューゲイズ、ドゥームメタルをブレンドしたヘヴィでメランコリックなサウンドは健在。
注目は悲壮感たっぷりの慟哭ワルツ#3"Ricochet"。わずか4分強でゆりかごから墓場までエスコートしてくれます。さんざん哀しみを撒き散らした後に子守唄のような優しいメロディの#4"Soft"で締めくくる流れもお見事。計4曲約16分と短いものの満足感あり。
Stars & Embers
ISON
ISON
Stars & Embers
- release date /2023-04-07
- country /Sweden
- gerne /doomgaze, post-rock, shoegaze, ambient, drone
シューゲイズ〜ポストロック〜アンビエントドローンを駆使して宇宙の神秘を描く一大スペクタクル。Dark TranquillityのMikael Stanneをあえてクリーンボーカルで起用するあたりも良いセンスしてます。しかし前作でゲストを務めたLisa Cuthbert がメインボーカルになった影響かダークさは少々控えめな印象。やはり前任のHeike Langhansによる暗黒美声が失われた事が残念でなりません。
zzz... zzz... zzz...
kuragari
kuragari
zzz... zzz... zzz...
- release date /2023-07-07
- country /Japan
- gerne /shoegaze, bedroom-pop, noise-pop, alternative-rock
日本のアーティストであること以外は謎に包まれたシューゲイズアクトによる3rdアルバム。
Sadnessを越えんばかりの強烈なノイズギターと、ささやくような淡い歌声という相反する要素が生み出す天上のユーフォリア。嵐のようなノイズにまみれながらも何故か癒やされるという奇跡体験がここにあり。
歌詞ははっきりと判別できないものの、曲のタイトルに綴られた願いを繰り返し歌っているもよう。その健気さに涙。
なお初期はアコースティック系で、今作から本格的にこの作風になったようです。2024年リリースのniconicoも素晴らしいのでぜひ。
Procession
Leonov
Leonov
Procession
- release date /2023-11-24
- country /Norway
- gerne /doomgaze, post-metal, post-rock
呪術的なムードが充満する暗黒ドゥームゲイズ。地下墓所で行われる黒魔術の儀式のごとき闇深さに震える。Presence of Soulとの対バンはまだですか?
Lovers From The Past
Mareux
Mareux
Lovers From The Past
- release date /2023-05-05
- country /US
- gerne /darkwave, coldwave, synth-pop, dream-pop
イラン系アメリカ人のミュージシャンAryan AshtianiによるソロプロジェクトMareuxのデビューアルバム。アルバムこそ初ですが、10年以上のキャリアを持つベテランです。彼は自らの音楽をロマンティック・ダークウェイヴと称し、80年代ニューウェイヴやゴシックロック、シンセポップからの影響を色濃く受け継ぎつつ、現代的な感性で再構築されたメランコリックなサウンドを特徴としています。
2022年にはシングル“The Perfect Girl”がTikTokで大きな話題となり、様々なユーザーによるリミックスが制作されました。
詳しい経緯は【ニコニコ大百科】The Perfect Girlとはを参照してください。まさかぼっち・ざ・ろっく!にまで波及しているとは私も知りませんでした(笑) ちなみにこの曲はThe Cure“Kiss Me, Kiss Me, Kiss Me”に収録された同名の曲をベースにしていますが、歌詞以外はほぼ別物に再構築されており、聴き比べるとそのオリジナリティが際立ちます。
2023年にCoachellaへ出演を果たしたMareuxの人気は留まることを知らず、Spotifyの月間リスナー数は5.29M(2024年9月時点)となっており、伝説のバンドJoy Divisionに迫る勢いです。現在のダークウェイヴの人気再燃において、最も重要なアーティストの1つと言えるでしょう。
本作では、従来のダークウェイヴ路線に加え、ドリームポップの要素が取り入れられているのが最大の特徴。#1 “Night Vision”や#9 “Hurt”では、繊細なギターアルペジオを散りばめたメロウなサウンドに虚ろなささやき声が重なり、真っ暗な部屋で今にも消えそうなロウソクの炎を見つめているような孤独感が襲ってきます。もしCigarettes After Sexがゴス化したらこんな感じかもしれませんね。また#2 “Glass”では、King WomanことKris Esfandiariがゲスト参加し、虚脱感漂う4つ打ちナンバーに幽玄なウィスパーボイスを重ねています。普段の重厚なドゥームゲイズとはガラリと違っていて非常に新鮮でした。
ノーツを削ぎ落としたミニマルなサウンドは、Billie Eilishのデビューアルバムにも通じるものがあり、ゴスに馴染みのないリスナーにも親しみやすいところも人気の秘訣の1つかもしれませんね。ドリームポップ好きもぜひ気軽にお試しあれ!
Aprender a Ser
Mint Field
Mint Field
Aprender a Ser
- release date /2023-10-27
- country /Mexico
- gerne /dream-pop, shoegaze, psychedelic-rock
メキシコのドリームポップ/シューゲイズ・バンドの3rdアルバム。ドリームポップとトリップホップを巧みにブレンドしたメロウなサウンドは熟れきった果実のような芳醇な味わい。スペイン語が醸し出す異国情緒もまた妙味。
Flamescapes of Eden
Mirror Of Haze
Mirror Of Haze
Flamescapes of Eden
- release date /2023-11-03
- country /Norway
- gerne /shoegaze, post-rock, dream-pop, darkwave, post-punk, doomgaze
ノルウェーのVadym MarkovによるソロプロジェクトMirror Of Hazeの2ndアルバム。
彼はThe CureやThe Chameleons、Fields of the Nephilimといった80年代のゴス/ポストパンクや、Slowdiveなどの90年代のシューゲイズ/ドリームポップに強く影響を受けたと語っており、1stアルバム"The End Is the Beginning"ではドリーミーなギターをフィーチャーしたミニマルなポストパンクを披露。それから2年後にリリースされた本作では、一気にシューゲイズ路線へ変身を遂げました。Mirror Of Hazeの醍醐味であるオーロラのようなギターはさらに輝きと厚みを増し、成層圏すら突き抜けて銀河の中心へ至らんばかりの美しさを放っています。
楽曲に豊かな彩りを添えているAnne Marie、Kim Bell (Broken Nails)、Iris Capricorn、Dani Mari (Primitive Heart) という4名のゲストボーカリストはいずれもゴシック畑のアーティストなのですが、驚いたことにIris Capricornが1996年結成のフランスのダークウェイヴ/ネオクラシカル・バンドのDark Sanctuaryのボーカリスト"Dame Pandora"と判明!ゴシックの重鎮とシューゲイズ系アーティストとの間に交流があったとはオタク的に嬉しい発見でした。このくだりで「スゲーッ!」となった人とは良いお酒が飲めそうです(笑)
私のベストチューンは、そのIris Capricornの神秘的な歌声をフィーチャーしたツインボーカル轟音シューゲイズ#4"Here's Where We Belong"。星間移民船に2人きりで残された男女が暗黒の宇宙を渡り、新天地たる青い惑星へ辿り着く……そんな物語を妄想してしまうドラマティックなナンバー。
TEARNOUMENON
My Dark Secret Transcendence
My Dark Secret Transcendence
TEARNOUMENON
- release date /2023-12-22
- country /Thailand
- gerne /blackgaze
タイ発ブラックゲイズ。暴力と美が激しく交錯する様はタイポップでは得られない刺激に満ちている。どっこいクリーンボーカルのパートはしっかりタイらしいところが面白い。
Spine
Myrkur
Myrkur
Spine
- release date /2023-10-20
- country /Denmark
- gerne /blackgaze, traditional-folk
北欧フォークとブラックメタルのクロスオーバーで世間を魅了してきたMyrkur。純トラッド/フォークにシフトした前作から一転、クリーンボーカルをメインにしたライトなポップスにブラックメタルをちょい足しアレンジ。ABBAみたいな軽快なダンスチューンから吹雪のごときブラックゲイズへシフトする『Mothlike』はその好例。子どもたちが草原で輪になって遊んでいたら、物陰から氷属性の魔女が襲いかかってきたみたいな衝撃展開。
Sorrow
Nebula Orionis
Nebula Orionis
Sorrow
- release date /2023-08-22
- country /Russia
- gerne /shoegaze, blackgaze, post-metal, post-rock
ロシア発コズミック・ブラックゲイズ。電子音を伴う轟音ギターが心的宇宙を開闢する。ギターの向こうで100m先から叫んでいるようなボーカルが黎明期のブラックメタルみたいで好きです。
Prototype Human: Farside
ノウルシ
ノウルシ
Prototype Human: Farside
- release date /2023-08-23
- country /Japan
- gerne /shoegaze, dream-pop, synth-pop, post-rock
前作に続きR&B、チルウェイヴ、サイケ、ドリームポップなどのエッセンスを取り入れたメロウなサウンドを展開する意欲作。『Void Replica()』は郷愁を誘う子守唄のようなメロディに伝承音楽のエッセンスが感じられ、彼らの新境地と言える名曲かと思います。∀ガンダムしかり、マクロスプラスしかり、未来を舞台にした物語に哀愁たっぷりの民族調の曲をお出しされるとオタクは泣いてしまう生き物なんですよォ……
VOL. 1
Novulent
Novulent
VOL. 1
- release date /2023-10-14
- country /US
- gerne /shoegaze, slowcore, grunge, nu-metal, emorap
quannnicやWispといったメガバスを多く生み出し、現在のシューゲイズブームの震源地となっているTikTok。このNovulentもまたその渦中にある存在の1つ。2023年の"scars" で大ブレイクし、この曲はTikTokで20万回以上投稿されました。
Novulentは17歳から作曲をスタート。XXXTENTACIONやLil Peepといったエモラップに大きな影響を受け、元々シューゲイズも好んで聴いていたが、哀しい出来事があった時に録音したBlinded(My Story 2収録)が現在のシューゲイズサウンドへシフトした始まりだそう。その変化は、当時に聴いていたWhirrに感化されたものだったそうです。(2023.11.03のインタビュー)
Novulentのサウンドを簡単にまとめるとDeftonesやWhirrの血を受け継ぐメランコリックでダウナーなヘヴィシューゲイズ。エモラップにあまり思い入れのない私には「TikTokのトレンドらしい音」といった印象で、これぞという強烈な個性は見い出せませんでしたが、代表曲のscarsは非常に感傷的なムードを持っていて、多くのリスナーの心を掴んだのも納得がいきます。
しかしどの曲もほぼ2分台、時に1分台とごく短く、展開も単純で少々味気なく感じました。曲の短さはTikTok発のシューゲイズアーティストに多く見られる傾向で、15秒のショート動画に慣れている彼らはムードが重要で、展開を作り込む意思は薄いのかもしれません。
曲の短さはさておき、曲間の無駄な無音がなく聴いていて集中が切れない点は気に入っています。ランニングタイムが短めなのもスキマ時間に気軽に聴けるという観点ではメリットとなるでしょう。
ちょっと辛口な評価になってしまいましたが、現在のシューゲイズ界を代表する存在としてますます注目を浴びることは確か。今後の活動に期待しています。
The Phantom Films Ⅱ
The Phantom Films
The Phantom Films
The Phantom Films Ⅱ
- release date /2023-10-27
- country /Japan
- gerne /shoegaze, post-grunge, alternative-rock
大阪のアーティストという情報の他はほとんど不明ながら、時折顔を出すシューゲイズ由来の陶酔美に惚れました。中でもクールなロックで始まり、突如プログレ風のフィルをねちっこく繰り返したと思ったら一気に幽玄で美しいパートにスイッチする『You've Got It Wrong』は他のシューゲイズではまずお目にかかれない斬新な構成で気に入っています。ライブもやっているようなのでぜひ拝見したいものです。
Sadness / Vulning
Sadness / Vulning
Sadness / Vulning
Sadness / Vulning
- release date /2023-10-20
- country /US
- gerne /shoegaze, blackgaze, depressive-black
良くも悪くもSadness節とでも言いたくなる似た曲調が多い中、今作で披露した『Cry Enough』は意外にもUS風のモダンヘヴィシューゲイズ。持ち前の悲痛なメロディと絶叫&クリーンの対比の効果でSadness史上最強の悲愴落涙チューンに仕上がっています。滂沱の涙を流し、激しく頭を振りながら哀しみを貪りましょう。
Amare
Shedfromthebody
Shedfromthebody
Amare
- release date /2023-12-22
- country /Finland
- gerne /doomgaze, gothic-metal, post-metal
ゴスの退廃美とドゥームメタルの重さを併せ持つ暗黒系シューゲイズ。音質・重さ共に過去最高値を更新。闇夜の海に響き渡るセイレーンの歌声さながらに耳にしたものを虜にする。
Fever
Sunlotus
Sunlotus
Fever
- release date /2023-07-14
- country /Indonesia
- gerne /shoegaze, grunge
インドネシア発シューゲイズ。憂いを帯びた甘いメロディと強烈なノイズを伴うヘヴィなギターの二律背反が生み出す快感。特に『Skin Graft』はヘヴィシューゲイズの理想形ともいえる名曲。タイのDeath of Heatherと仲が良いようで「一緒にジャパンツアーしたいね〜」なんて会話をXで覗き見ながらニヨニヨしています。来日待ってます。
turnaround (10th Anniversary Re-Recording)
東京酒吐座
東京酒吐座
turnaround (10th Anniversary Re-Recording)
- release date /2023-12-25
- country /Japan
- gerne /shogaze, post-rock
祝10周年!日本のシューゲイズで最も好きな作品が再発されました。再録音で新たな生命を吹き込まれ、曲によってはアレンジも変化。オリジナル版を百万回聴いたぜ!という人も再び楽しめること間違いなし。再録音でギターの解像度が増した『Tasogare Perspective』は圧巻。きっとあの世に召されるまで世界最高のシューゲイズソングだって言い続けると思います。
turquoise engine
Tyrkouaz
Tyrkouaz
turquoise engine
- release date /2023-03-25
- country /Japan
- gerne /mixture-rock, hyper-pop, drum&bass, shoegaze
ドラムンベースの土壌に多彩な音楽性を開花させた新世代ミクスチャーロック。ギターにくゆるのウエダリュウタ、ボーカリストにみけたはなを迎えた『ethergaze』は竜巻のような轟音ギターには儚げなツインボーカルが溶け込むドラムンゲイズの大傑作。最近ライブで初披露されたそう。生で体験できた方はラッキーですね。
Lullabies For Adults
Youth Valley
Youth Valley
Lullabies For Adults
- release date /2023-06-23
- country /Greece
- gerne /shoegaze, post-punk, dream-pop, alternative-rock, indie-rock
ギリシャのポストパンク/シューゲイズ・バンドのデビューアルバム。
彼らはDIIVに影響を受けたことを公言しており、どの曲もスキあらば名作Oshinに匹敵するほど徹底的にギターをキラッキラさせまくっています。それでいて歌メロはフックが強く、ポストパンクのダークさやゴスやニューウェイヴに通じるロマンチシズムも感じられるわで一瞬で気に入ってしまいました。
キラキラを振りまきながら疾走し、終盤に轟音を炸裂させる#4"Godheads"がマイベスト。「DIIVが選択しなかった未来」の1つがここにあります。近年のDIIVを聴いて「キラキラが足りないゾ☆」と思っている方はぜひお試しあれ。
ライブで披露されたリバーブマシマシのThe Cure - "Pictures of You"のカバーも合わせてチェックよろです。