WORLD CITIZEN

Rebuilding the Ruins of Regret

WORLD CITIZEN

Rebuilding the Ruins of Regret

  • release date /
    2024-11-02
  • country /
    Japan
  • gerne /
    post-rock, ambient, shoegaze, alternative-rock, post-classical
Light
Dark
Soft
Heavy
Clear
Noisy
Slow
Fast
Pop
Extreme

東京のポストロック・バンドのデビューEP。コンポーザーのNobuki Yagi氏は、元はsaisaというバンドで4つのアルバムをリリースし、中国や台湾で公演も行ったベテランのアーティスト。しかしコロナ禍によりツアーやレコーディングはすべて中止となりメンバーは離散、バンドは活動停止となったようです。その後、2023年公開の紀里谷和明監督の映画「世界の終わりから」の劇伴に抜擢されたことがきっかけで音楽への情熱を取り戻し、新たなメンバーとともにWORLD CITIZENとして再始動。バンド名は坂本龍一とデヴィット・シルヴィアンのコラボ作に由来しています。現在はNobuki Yagi(Gt/Vo)、Satoshi Adachi(Ba)、Kaz Matsuda(Dr)のトリオ編成で活動中。

WORLD CITIZENの存在を知ったのは、彼らの初企画となる吉祥寺NEPOのイベントがきっかけ。Presence of SoulやMYY.といったベテランのバンドとともに名を連ねており、興味が湧いてデモ音源を試聴したところ、冷たいピアノを散りばめたダークなサウンドにたちまち心を射抜かれました。

1stライブを経た後にレコーディングされた本作は、「後悔の廃墟の再生」と題し、より「希望」を感じさせる作風になっています。オープニングを飾る#1“Eternal Moment”は重厚なストリングスを主体としたインストで、モノクロームの世界に光が満ちていくような美しい情景が浮かんできます。#2“Faith in Ordinary”、#3“Siren”ではsaisa時代から変わらないクリスタルヴォイスを披露。オーロラのごときサウンドとあいまってSigur Rósのような神々しさすら感じられます。#4“Agitator”はsaisaの2ndアルバムの楽曲をリアレンジしたもので、ノイジーなギターが渦巻く混沌とした荒野に美しいピアノが降り注ぐ荘厳なナンバー。終盤には原曲にない新たなパートが加わり、よりドラマティックになっている点も見逃せません。

今後の日本のポストロックシーンを賑わせてくれそうな快作。これから彼らがどんな世界を描いていくのか非常に楽しみです。

また、この記事を書くにあたって前身に当たるsaisaの作品を全部聴いてみましたが、4作それぞれ作風が異なっていて、どれも素晴らしかったです。 個人的には凍度高めの轟音ポストロックが揃う2ndアルバム“and I will”がお気に入り。ご興味ある方はぜひチェックしてみてください。WORLD CITIZENで再録されている曲も幾つかあるため聴き比べてみるのもまた一興かと思います。※いずれもBandcampで試聴できます。