
BIG|BRAVE
A Chaos Of Flowers
BIG|BRAVE
A Chaos Of Flowers
- release date /2024-04-19
- country /Canada
- gerne /ambient, doomgaze, drone, experimental, folk, noise, post-metal, post-rock, progressive, shoegaze
カナダ・ケベック州モントリオールのエクスペリメンタル・ポストメタル・バンドBIG|BRAVEの7thアルバム。
2012年に Robin Wattie(Gt/Vo)とMathieu Ball(Gt)によって結成。2019年にTasy Hudson(Dr)を迎え、現在はトリオ編成となっています。
破壊的なヘヴィネスを見せつけた前作から、幽玄なフォークミュージックの領域を拡大し、重轟音化したDead Can Danceのような異形のサウンドを展開。
臨場感のある音響で繰り出されるロングトーンのギターと、ハンマーを打ち下ろすような鈍重なリズムはまるで巨大な怪物の足音のようで、ドラクエ5で初めてブオーンに対峙した時の戦慄が蘇ります。また、Robinの歌声は、リサ・ジェラルドの崇高さとビョークのエキセントリックさを合わせ持っており、BIG|BRAVEの個性を物語る重要なピースとなっています。もし古代のシャーマンがエレキギターとアンプを手に入れたらこんな音楽を奏でるのかもしれませんね。
イチオシは#4“canon : in canon”。ネオフォーク×暗黒ドゥームゲイズといった印象で、本作ではだいぶ分かりやすい曲。#3“chanson pour mon ombre”は素人耳では譜面が想像できない即興演奏のようなカオスなナンバー。まるでクリムゾンの『風に語りて』のエクストリーム版ような趣もあり。音符が乱れ飛ぶ中、突如大砲のようなソリッドな轟音が炸裂して思わず息を呑みます。ラストを飾る#8“Mooset”は寂寞としたフォークから徐々に轟音へと変化し、微かな残響とともに幕を閉じます。
聴き終えた後に脳裏に浮かんできたのは、映画『最初にして最後の人類』のあのモニュメントでした。このアルバムは遠い未来の人類が、我々に宇宙の終焉の訪れを知らせる啓示なのかもしれません。
アンビエントやフォーク、ドゥームメタル、ドローン、ノイズ、ポストメタル、ポストロック、シューゲイズなど、様々な要素を繋げた伏魔殿的なサウンドはまさに唯一無二。真の意味でのオルタナティブは、こういう音楽にこそふさわしいと改めて。
なお、シューゲイズ寄りが好みであれば、若干アトモスフェリックな4thアルバム『A Gaze Among Them』がオススメ。どんだけ暗くても構わんッ!という方はフューネラルドゥーム級の暗さの3rdアルバム『Ardor』がうってつけです。我こそはという暗黒音楽愛好家はぜひお試しあれ。
BIG|BRAVEはライブも凄いとの噂なので、いつか生で拝見したいものですね。世界各国の重轟音バンドと親交が深いTokyo Jupiter Recordsさんが招致してくれると期待しています。