Zetra

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Zetra

  • release date /
    2024-09-13
  • country /
    UK
  • gerne /
    darkwave, doom-metal, gothic-metal, grunge, post-punk, shoegaze, synthwave
Light
Dark
Soft
Heavy
Clear
Noisy
Slow
Fast
Pop
Extreme

UKのシューゲイズ/ゴシックメタルデュオZetraの1stアルバム。

ZetraはAdam Saunderson(Gt/Vo)とJordan Page(Syn/Vo)によって2018年に誕生。当初はシンセポップやニューウェイヴの方向性を模索していましたが、自然とヘヴィかつ幻想的なサウンドへ変化していき、「ゴシックヘヴィメタルシューゲイズ」と称する独自の音楽性を確立しました。

キーボードが生み出す美しいテクスチャーはDrab Majestyに通じるものがありますが、ギターはメタル由来のヘヴィなリフが主体で、ボーカルはより繊細かつ優美である点が最大の特徴です。Black Sabbathのヘヴィネス、Type O Negativeの妖艶さ、Cocteau Twinsの耽美性がバランスよく配合されており、「ゴシックヘヴィメタルシューゲイズ」という表現は実に的確だと思います。ゲストミュージシャンがSerena Cherry(Svalbard)、Sólveig Matthildur Kristjánsdóttir(Kælan Mikla)、Gabriel Franco(Unto Others)と、ゴシック/メタル界からの人選なのも納得です。

「ゴシックヘヴィメタルシューゲイズ」の真価は#1“Suffer Eternally”で最大限に発揮されます。バッキングはヘヴィでメタルそのものなのに、オーロラのようなキーボードと天使のごとき美しい歌声が一体となるとあら不思議、しっかりシューゲイズらしく聴こえるではないですか。メタルとシューゲイズのクロスオーバーは、どちらかの要素が薄くなりがちですが、この手があったかと唸らされました。また、ゴシックメタルからシューゲイズへの転身はいくつか例があるものの、ゴシックメタルとシューゲイズを明確に融合させる試みはほとんど前例がなく、その点でも革新的といえるでしょう。

美しいサウンドとは裏腹な悪魔めいたルックスも魅力の1つ。YouTubeのコメント欄でも「KISSやブラックメタルを想像して聴いてみたらギャップに驚いた」というコメントがチラホラ。SvalbardのボーカリストSerena Cherryをフィーチャーした#3“Starfall”は、Adamの美しいクリーンボーカルとSerenaの凶悪なスクリームが天使と悪魔の戦いさながらに激しく交錯しますが、悪魔にしか見えない方が天使側というのがまた面白い(笑) 

アルバム前半にMV曲が固まっていますが、後半に入ってもクオリティは衰えることなく、揺らめくピアノでメランコリックに浸らせる#7“Inseparable”、シンセウェイヴ風にノリノリにドライブするロックナンバー#8“Gaia”、Unto OthersのボーカリストGabriel Francoのポエトリーリーディングをフィーチャーした黙示録ソング#9“Moonfall”など、名曲が目白押しです。

なお、Zetraはデビューアルバムの発売前にフィンランドの人気バンドVV(ヴィレ・ヴァロ)のサポートを務めたことでゴシック好きの間で熱い注目を集めているようです。追加アクトにアイスランドのEivørを迎えた千秋楽のロンドン公演はさぞ盛り上がったことでしょう。このメンツであれば、チケ代が10万でも余裕で払います!

今のところツアー先はヨーロッパと北米だけですが、1日も早い来日を願わずにはいられません。白塗り繋がりでDrab Majestyと来日してくれたらまさに狂喜乱舞ものですね。どうかこの想い、HANDS AND MOMENTさんへ届けッ!