
Sorrow
Nebula Orionis
Nebula Orionis
Sorrow
- release date /2023-08-22
- country /Russia
- gerne /shoegaze, blackgaze, post-metal, post-rock
ロシア発コズミック・ブラックゲイズ。電子音を伴う轟音ギターが心的宇宙を開闢する。ギターの向こうで100m先から叫んでいるようなボーカルが黎明期のブラックメタルみたいで好きです。

UNNORMAL
BLOOD PICK ME
BLOOD PICK ME
UNNORMAL
- release date /2023-08-23
- country /Japan
- gerne /shoegaze, alternative-rock, industrial, post-punk
ヘヴィなギターを主軸にインダストリアルな要素を交え、退廃的なディストピアを描いたデビューアルバム。日本シューゲイズ界においてここまで一貫してダークな作風のバンドは貴重。アップリフティングなダンスチューンのIN SECRETから、地を穿つようにヘヴィなAll I Needへの流れは彼らの個性が遺憾なく発揮された本作のハイライト。なお現在の活動は音源制作が主でメンバーの素性はほぼ不明。いつかライブを拝める日が訪れることを祈っています。

Prototype Human: Farside
ノウルシ
ノウルシ
Prototype Human: Farside
- release date /2023-08-23
- country /Japan
- gerne /shoegaze, dream-pop, synth-pop, post-rock
前作に続きR&B、チルウェイヴ、サイケ、ドリームポップなどのエッセンスを取り入れたメロウなサウンドを展開する意欲作。『Void Replica()』は郷愁を誘う子守唄のようなメロディに伝承音楽のエッセンスが感じられ、彼らの新境地と言える名曲かと思います。∀ガンダムしかり、マクロスプラスしかり、未来を舞台にした物語に哀愁たっぷりの民族調の曲をお出しされるとオタクは泣いてしまう生き物なんですよォ……

Alas, I Am Morbid!
IJdelheid
IJdelheid
Alas, I Am Morbid!
- release date /2023-09-01
- country /Netherlands
- gerne /ambient, neoclassical, dark-folk, doomgaze, dream-pop, post-rock
Dead Can DanceやArcanaといったネオクラシカル〜フォークの系譜にドゥームゲイズ風のギターを取り入れた『Shadows Stretching Out』が白眉。Lovesliescrushing等のアンビエント系ドゥームゲイズ好きにもおすすめ。

Princess Rot
Flora Lux Victoria
Flora Lux Victoria
Princess Rot
- release date /2023-09-01
- country /UK
- gerne /bedroom-pop, dream-pop, noise-pop, shoegaze
UKのソロアーティストLydia Nによるベッドルーム・シューゲイズ・プロジェクトのデビューアルバム。
耳をつんざくような凄まじいノイズの中に、キラキラシンセやあどけなさが残るキュートなボーカルを散りばめたローファイゆめかわシューゲイズを展開。その純真かつ過激なサウンドは、まるでピュアな恋心を最大音量でマーシャルアンプから吐き出したかのよう。
いっぽう#6“Grief Prism”では突然ブラストビートで爆走してみたり、#8“Yearner ”でエレポップ風なムーディなダンスチューンをやってみたりと、多彩な面も覗かせてくれます。
ただしUlverの3rd並にノイズが強烈なので、再生時のボリュームには充分にご注意ください。

Nightsphere
Heretoir
Heretoir
Nightsphere
- release date /2023-10-06
- country /Germany
- gerne /blackgaze, progressive-metal, post-metal
ブラストビートを交えた激しいサウンドと幽玄なクリーンボーカルのマッチングはブラックゲイズの基本フォーマットながら、長尺でも飽きさせない構築美はプログレの血脈も感じさせる。Austere・Der Weg einer Freiheitという豪華なゲストボーカル陣もブラックメタル好きにはたまらない。

VOL. 1
Novulent
Novulent
VOL. 1
- release date /2023-10-14
- country /US
- gerne /shoegaze, slowcore, grunge, nu-metal, emorap
quannnicやWispといったメガバスを多く生み出し、現在のシューゲイズブームの震源地となっているTikTok。このNovulentもまたその渦中にある存在の1つ。2023年の"scars" で大ブレイクし、この曲はTikTokで20万回以上投稿されました。
Novulentは17歳から作曲をスタート。XXXTENTACIONやLil Peepといったエモラップに大きな影響を受け、元々シューゲイズも好んで聴いていたが、哀しい出来事があった時に録音したBlinded(My Story 2収録)が現在のシューゲイズサウンドへシフトした始まりだそう。その変化は、当時に聴いていたWhirrに感化されたものだったそうです。(2023.11.03のインタビュー)
Novulentのサウンドを簡単にまとめるとDeftonesやWhirrの血を受け継ぐメランコリックでダウナーなヘヴィシューゲイズ。エモラップにあまり思い入れのない私には「TikTokのトレンドらしい音」といった印象で、これぞという強烈な個性は見い出せませんでしたが、代表曲のscarsは非常に感傷的なムードを持っていて、多くのリスナーの心を掴んだのも納得がいきます。
しかしどの曲もほぼ2分台、時に1分台とごく短く、展開も単純で少々味気なく感じました。曲の短さはTikTok発のシューゲイズアーティストに多く見られる傾向で、15秒のショート動画に慣れている彼らはムードが重要で、展開を作り込む意思は薄いのかもしれません。
曲の短さはさておき、曲間の無駄な無音がなく聴いていて集中が切れない点は気に入っています。ランニングタイムが短めなのもスキマ時間に気軽に聴けるという観点ではメリットとなるでしょう。
ちょっと辛口な評価になってしまいましたが、現在のシューゲイズ界を代表する存在としてますます注目を浴びることは確か。今後の活動に期待しています。

Sadness / Vulning
Sadness / Vulning
Sadness / Vulning
Sadness / Vulning
- release date /2023-10-20
- country /US
- gerne /shoegaze, blackgaze, depressive-black
良くも悪くもSadness節とでも言いたくなる似た曲調が多い中、今作で披露した『Cry Enough』は意外にもUS風のモダンヘヴィシューゲイズ。持ち前の悲痛なメロディと絶叫&クリーンの対比の効果でSadness史上最強の悲愴落涙チューンに仕上がっています。滂沱の涙を流し、激しく頭を振りながら哀しみを貪りましょう。

Spine
Myrkur
Myrkur
Spine
- release date /2023-10-20
- country /Denmark
- gerne /blackgaze, traditional-folk
北欧フォークとブラックメタルのクロスオーバーで世間を魅了してきたMyrkur。純トラッド/フォークにシフトした前作から一転、クリーンボーカルをメインにしたライトなポップスにブラックメタルをちょい足しアレンジ。ABBAみたいな軽快なダンスチューンから吹雪のごときブラックゲイズへシフトする『Mothlike』はその好例。子どもたちが草原で輪になって遊んでいたら、物陰から氷属性の魔女が襲いかかってきたみたいな衝撃展開。

The Phantom Films Ⅱ
The Phantom Films
The Phantom Films
The Phantom Films Ⅱ
- release date /2023-10-27
- country /Japan
- gerne /shoegaze, post-grunge, alternative-rock
大阪のアーティストという情報の他はほとんど不明ながら、時折顔を出すシューゲイズ由来の陶酔美に惚れました。中でもクールなロックで始まり、突如プログレ風のフィルをねちっこく繰り返したと思ったら一気に幽玄で美しいパートにスイッチする『You've Got It Wrong』は他のシューゲイズではまずお目にかかれない斬新な構成で気に入っています。ライブもやっているようなのでぜひ拝見したいものです。