
Prize Horse
Under Sound
Prize Horse
Under Sound
- release date /2024-02-16
- country /US
- gerne /shoegaze, alternative-rock, grunge, slowcore
ミネソタ州ミネアポリスのシューゲイズ・バンドのデビューアルバム。
Jake Beitel(Gt/Vo)、Jon Brenner(Dr)、Olivia Johnson(Ba)のトリオ編成。ミックス・マスタリング・プロデュースはGleemerのCorey Coffman。
ダウンテンポでじっくりメランコリーを紡ぐサウンドはスロウコア〜サッドコアに通じる聴き心地があり、沈んだ気分に寄り添ってくれること間違いなし。ため息が充満した部屋で独り静かに味わいましょう。

Blurred City Lights
天使のいない街で
Blurred City Lights
天使のいない街で
- release date /2024-02-17
- country /Japan
- gerne /shoegaze, dream-pop, post-rock, ambient
名古屋発シューゲイズ/ドリームポップバンドのデビューアルバム。透明感のあるボーカルと幽玄で美しいギターが創生するどこまでも蒼く透明な夢幻世界。涙を誘う切ないメロディが疲れ傷ついた心にそっと包帯を巻いてくれます。
喪失感に苛まれながら光へと踏み出していく構成や(僕/君)と(わたし/あなた)を軸にした語り口に90~00年代の泣きゲーやセカイ系を見出す人も多いことでしょう(私だ)。アルバムを締めくくるcitylightsの“何も怖くないね”、“きみのもとへ往くよ”のフレーズにもう号泣ですよ……。
また街をバックに物憂げな視線を送る天使のアートワーク(制作はBa/Voの神谷氏)も楽曲にマッチしていてお気に入り。私はひと目見て灰羽連盟やベルリン・天使の詩を連想しましたが、聴き終わった後に振り返ってみると、どちらの世界観にもフィットしていて驚いたものです。皆さんがこのアルバムにどんな物語を重ねたのか、小一時間くらい語り合ってみたいものですね。
せ~のッ!ライブハウスで私と握手!!!

nim
Mushy
nim
Mushy
- release date /2024-02-21
- country /Japan
- gerne /emo, shoegaze, post-hardcore, post-rock
エモ×シューゲイズのクロスオーバーへ舵を切った3rdEP。
劇的な変化を感じたのは#2のタイトルトラック。リバーブを効かせた柔らかなサウンドと男女ツインボーカルの美しいハーモニーはまさしくシューゲイズの血筋。
ポストロックの手法でじっくりと哀愁を紡いでいく#3Will be gray、#4Alchemistaも素晴らしい。#4で披露されたHisana氏(Gt/Vo)の日本語の歌唱も大野愛果やthe brilliant greenの川瀬智子を儚げにしたような響きがあって新鮮でした。
Hisana氏はソロプロジェクトのappiでもドリームポップ~シューゲイズ系の曲をやっているので、ぜひあわせてチェックされたし。nimがシューゲイズに接近した一方で、appiはヘヴィでメランコリックだった前作からbeabadoobeeを思わせる柔らかなサウンドに変化した点もなかなか興味深いところ。もしかするとnimとのバランスを考慮した結果なのかもしれませんね。

Velvet
Romance
Velvet
Romance
- release date /2024-02-23
- country /US
- gerne /alternative-rock, grunge, nugaze, shoegaze
ニューヨークのシューゲイズ・バンドVelvetのデビューアルバム。マスタリングはWhirrのNick Bassett。
ヘヴィなギターと甘美なボーカルによって愛し合う2人の関係性にフォーカスしたロマンティックな作品。サンディエゴのBlossomを迎えた#2“Skin”は、深いリバーブをまとった重厚なサウンドが魅力的。タイトルトラックの#8は、スローテンポで愛に満ちた甘美なムードにどっぷり浸らせてくれます。近年は自罰的でペシミスティックな歌詞が多い中、ここまでストレートに愛を表現しているのはなかなか新鮮ですね。
本作の後にリリースされたシングルやEPでは更に進化が感じられるので、今後の期待を込めてブライテストホープにノミネート。blood pactとのコラボも素晴らしいので、ぜひまとめてチェックしてください。
なお、本作に収録された“Staring”は、後日Wispのボーカルをフィーチャーしたバージョンもリリースされましたが、なぜか配信停止となり、代わりにeasterlinが参加したシングルが公開されています。まだ某動画サイトで聴けると思うので、熱心なWispファンは探してみてください。

the neverminds
nevermind, the winter.
the neverminds
nevermind, the winter.
- release date /2024-02-24
- country /Canada
- gerne /shoegaze, dream-pop
前作『the summer』から一転『the winter』と題し、冷気を伴うメランコリックなサウンドへシフト。ノイジーな音質も凍てつく吹雪のようでかえって好印象。
“please haunt me die...”という狂おしい願いが轟音に木霊する『haunt me』は今年のベストチューン候補。アウトロの哀しみと諦めが混じったような歌声に涙を禁じ得ない……。twinotterとのコラボ曲も素晴らしいのでぜひ。
【2024.05.04追記】
まさかこれほど早く実現するとは嬉しい驚きでした。さらに7公演のうち5つにherveilの参加が決定。よってダークシューゲイズ界における重要なイベントになることは必至。弊サイトも微力ながら応援いたします!

Suldusk
Anthesis
Suldusk
Anthesis
- release date /2024-03-01
- country /Australia
- gerne /blackgaze, post-rock, dark-folk
オーストラリア発ブラックゲイズ/ポストロックバンドの2nd。MyrkurやSylvaineはエクストリーム系とフォーク系で作品を分けていたのに対し、トラッド/フォークとブラックゲイズのパートを交互に配置し、美と暴力のコントラストで魅せる折衷スタイルを採用。ストリングスを交えた繊細なフォークとブラストビートの爆走パートを行き来するタイトルトラックはその好例。
Northern Silence Productionsから大手Napalm Recordsに移籍してプロダクション面も大幅に向上。この界隈で一躍注目される存在になった事は間違いないでしょう。ライブも積極的に行っているようなので来日に期待したいところ。

Silentways
Aeon
Silentways
Aeon
- release date /2024-03-01
- country /Italy
- gerne /darkwave, coldwave, post-punk, gothic-rock, dream-pop
イタリアのダークウェイヴ・トリオの2ndアルバム。前作Silentwaysをリリース後に一度バンドは解散。2022年にトリオ編成で再結成してから初となるアルバムです。
ダークウェイブとドリームポップのクロスオーバーで魅せた前作から、さらにダークさを深化させコールドウェイヴの要素を注入。無機質なビートを刻むドラムマシンと、心拍のようにズンズンと脈動するベースがあいまって、暗く冷たい洞窟の中をひたすら突き進むようなサウンドになっています。その変化について彼らは最近お気に入りのTwin Tribesの影響があったと語っています。
いっぽうオーロラのように揺らめくギターやAnnalisa Lynchの幽玄な美声は健在なので、これまで通りドリームポップ目線でも美味しくいただけるのが強みですね。The KVBやSeasurfer、Magic Wandsといい、やはりゴシックの系譜とドリームポップは相性が良いと再確認。
なお本作では様々な『愛の認識』を解釈することをテーマにしており、中でも1stシングルの"A Red Thread"は、運命の赤い糸が紡ぐ超越的な愛の形にフォーカスしているようです。歌詞を読みながら聴いていたら「これ実質スティルインラブのテーマ曲では?」と私のオタク回路が暴走しまくったのでした(笑)

Ozurie
Nowhere To Be Found At All
Ozurie
Nowhere To Be Found At All
- release date /2024-03-06
- country /US
- gerne /shoegaze, alternative-rock
USテキサス発シューゲイズのデビューEP。ヘヴィなギターと気怠げなボーカルを混ぜ合わせ、ダウンテンポでじっくりと料理する手腕にLife on VenusやWispとの共鳴を感じました。ぜひ鉛色の空を見上げながらため息とともに味わいましょう。しかしこのクオリティでYouTubeの再生数が二桁とは解せぬ。

GONE.
Poor You
GONE.
Poor You
- release date /2024-03-08
- country /US
- gerne /shoegaze, dream-pop, slowcore
USヴァージニア州ノーフォーク発のシューゲイズ/スロウコアバンドの2ndアルバム。三部作のパート2にあたる作品だそう。スロウなビートにのせて紡がれる物憂げなメロディが聴く者の心に否応なく孤独感を植え付ける。
霧の立ち込める沼地を彷徨い歩くようなサッドナンバー『Crave』、80sゴシックロックの影響が垣間見える『Pain』など良曲多し。

Deadlyswcct
Eternal lament
Deadlyswcct
Eternal lament
- release date /2024-03-08
- country /US
- gerne /shoegaze, alternative-rock, grunge, trap
分かっているのはUSオクラホマ州在住のSSWらしいという僅かな情報のみ。霧が立ち込める森を彷徨い歩くような陰鬱なムードの中、ヘヴィなギターとアンニュイな歌声が絡み合う様のなんと鬱くしいこと……。WispやSoftcultと共通点が多いものの、ちょいちょい入るトラップビートが良い味を出しています。
ただ音源がYouTubeとSoundCloudのみで少々薦めづらいのが難点。サブスク解禁を待ちましょう。